猿夢が世にもおぞましい都市伝説となった7つの理由


インターネット上でまことしやかに囁かれている都市伝説の一つに、「猿夢」と呼ばれるものがあります。遊園地によくあるような、お猿さんのイラストが描かれた小さな電車に乗る夢なのですが、その内容が実におぞましいのです。

電車が駅に着くごとに乗客が無残にも処刑されていきます。何とかその夢から逃げ出したと思ったら「次は逃げられませんよ」という声が聞こえます。そしてその夢を見た4年後にまだ同じ夢を見ることになる・・・というお話です。

真偽のほどはさておき、この猿夢がどうして都市伝説としてここまで存在感の大きなものになったのかには理由があります。今日はその理由についてお伝えしますので、猿夢のお話を聞いて不安に思った方はこれで心をお安め下さい。

 

猿夢が世にもおぞましい
都市伝説となった7つの理由

 

インターネット

猿夢自体がインターネットの巨大掲示板から発生したお話と言われているように、インターネットは都市伝説の生まれやすい場所です。基本的には誰でも好きなように情報発信できるというのが第一の理由です。

また、インターネット上には一般の書籍には載らないようなネガティブな内容も多く集まります。そしてネット上のマイナスな情報は例え虚偽であったとしても信憑性が高まるという不思議があります。

このように「誰でも書き込める」、「ネット上のネガティブな書き込みは信用されやすい」というインターネットの要素は、猿夢という都市伝説のリアリティを増す原因になったのです。

 

動物のイラストや人形

日本に限らず多くの国において、動物には神秘的な力があるとされてきました。危害を加えれば祟りがあると信仰する国々は今でも少なくありません。特に猿のような知能の高い動物であればなおさらです。

そして、猿夢にはその猿がイラストや人形のような実体のない形で登場してきます。この実体のなさは私たちの恐怖をさらにかき立て、不安にしています。

 

「次は逃げられない」というメッセージ

猿夢には何とか逃げ出すことができる設定があるのですが、最後に「次はお前の番だ」という声を聞きます。この声も猿夢を非常に恐ろしく忌避したいものにしている一要素です。

車内の人々が次々と処刑されていくグロテスクな光景を目の辺りにした後のとどめの一言ですから非常にショッキングです。4年後に同じ夢を見ることになるという予告も絶妙な隠し味になっています。

 

猿夢が「夢」であるというポイントも、猿夢が都市伝説として有名になることに若干貢献しています。おぞましい内容の猿夢を現実ではなく夢とすることにより、夢の持つおぼろげでふわふわとした恐ろしさを加味することに成功したからです。

猿夢のような内容は現実にはとても起こりえないものだけれど夢の中ではそうでもないという確証のなさも、猿夢をより恐ろしげなものに演出しています。

 

「戦後」と都市伝説の関係

都市伝説自体は時代を問わず存在していたのですが、第二次世界大戦後の日本の都市伝説には一つの大きな特徴があります。それは「宗教的な救いがない」ということです。

宗教的権威が莫大な力を持っていた古代から戦前までは人々の信仰も厚かったのですが、現代ではそこまで熱心に宗教に身を投じている人は非常に少数です。

宗教を信じるか否かの是非はまた別とするとしても、このような都市伝説に対抗できるような魂のよりどころがないのも事実です。だからこそ都市伝説にその頼りなさを餌食にされてしまうとひとたまりもなくなってしまうのです。

 

実態のなさ

インターネットの匿名掲示板に書き込まれた猿夢には、どこの誰が経験したのかなど詳しい情報がほとんど皆無です。本当にあった話なのか否かも分かっていません。

調べれば調べるほどまことしやかな噂にぶつかり、恐怖は増大していく一方です。ここにインターネットから生まれた都市伝説ならではのスリルがあります。

 

恐怖と人間の習性

面白いことに、人間は怖くて不愉快なことには非常に敏感です。楽しい思い出についてはあまりよく覚えていないのに、嫌な経験についてはトラウマになるほど詳細に記憶している人は実際に大勢いいます。

それだけ人間の脳や思考は恐怖などの不快な感情に左右されやすいということなのです。

 

以上が、猿夢が巨大な都市伝説になった7つの理由です。7つの「理由」として分析ができる以上、猿夢に必要以上の恐れを抱く必要はありません。いつもと同じように笑顔で暮らしていけば怖いことなど何もありません。

しかしどうしても怖かったり、今後猿夢のような話を小耳に挟んで苦しい思いをしたりするときには、伝説のレゲエ歌手ボブ・マーリーのRedemption Songの歌詞、

“Emancipate yourself from mental slavery,None but ourselves can free our minds.”
(自分自身を精神的な奴隷状態から解放すること。我々の心を解き放てるのは我々しかいないのだから)

を思い出してください。恐怖とはまさに私たちの精神を奴隷化するものであり、とらわれると身動きが取れなくなってしまいます。そしてその状態から自分を救い出すことができるのは、やはり私たち自身でしかないのです。


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